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2008年10月12日

「亡国か再生か」──分水嶺に立つ日本(その2)

「亡国か再生か」──分水嶺に立つ日本(その2)
小泉時代に進められた官僚の陰謀

 14日発売予定の本誌11月号では、総選挙が近い時局に鑑みて、「衆院選のキーマンを直撃!」と題して、民主党幹事長の鳩山由紀夫衆議ら5人(民主2自民2大地1)への緊急インタビューをお届けする。

 また11月号では、政権交代の可能性も含めて注目される次期衆院選が、今の時代でどのような意味合いを帯びているかを、小泉政権以後の内政・外交の流れを踏まえて検証した拙文「視点──選択の08年」も併せて掲載した。

 この原稿を下敷きにしながら何回かに分けて、「分水嶺に至った」我が国の現状を考えてみたい──というシリーズ(勝手に造るな)の第2回目。ちなみに最初にアップした時、編集部からは「記事のコピペじゃ本誌を買ってくださる読者に申し訳ないですよ」と釘を刺されている(笑)。

「亡国か再生か」──分水嶺に立つ日本(その2)(その1)では、今回の総選挙では、これまでの自公政権における国政運営に対しての評価がまず問われなければならないと書いた。そして結論から言えば、現在の流れは、小泉元首相がブッシュに同調した「破綻スキーム」の延長線上で起きている事態だと思われる。安倍や福田は、そのとばっちりで退場を余儀なくされたに過ぎないと。

 現在のユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカの凋落は、世界にとって大迷惑だが、時代の転換を象徴的に示した出来事として歴史に名を留めるに違いない。金融マフィアの自滅はともかく、何しろアメリカ・オブ・アメリカといっていいジェネラルモータースが潰れそうなのだ。実体経済の脆弱さを「金融工学」という一種のサギで誤魔化していたのだからタチが悪い。我が国の不動産バブルの教訓をなぜ、ぶっ飛ばしているブッシュに小泉は伝えなかったのか。

 私は自分自身の総括として、小泉時代は結果的に相当罪深い政権だったという確信を強めている。「純チャ~ン」という黄色いオバさんの嬌声の裏側で国家官僚たちは、いったい何を企み何を進めてきたのか? 拙文「視点──選択の08年」では、そこらへんのことをボチボチ考えてみたしだいだ。で、近年の地方政策に関してふれたくだりが次の項である。


【小泉以降、顕著となった「地方軽視と生命軽視」】

 私がここ数年、さまざまな取材を通して実感していることは、中央官僚すなわち各省庁が地方と生命を軽視する姿勢を著しく強めてきたということだ。特異なキャラクターを身にまとい構造改革、新自由主義、アメリカ偏重を掲げて2001年に登場した小泉純一郎首相以後、この流れは確実に勢いを増した。

 たとえば地方政策を見て、私が違和感を感じるひとつの例が「地方財政健全化法」(07年6月15日成立)だ。これは06年に明るみになった夕張破綻以降に、国が地方公共団体の財政破綻を防ぐ名目でつくられた法律だが、法令の中身は「一般会計だけではなく特別会計や企業会計も連結決算し、赤字を公表しなさい」というもの。そして赤字の度合いによっては容赦なく財政再建団体にしますという内容だ。

 だが、国はその前に「三位一体の改革」と称して税源移譲もそこそこに交付税や公共事業、補助金のカットを断行し、ぞうきんを絞ったばかりではなかったか。結果、どの自治体もリストラと経費節減に追い込まれ、住民サービスも一部が犠牲にされた。道内では、道庁をはじめトップから職員にいたるまで給料カットに踏み切っている自治体が少なくない。今年になって編集部がレポートした歌志内市などでは2割3割カットが当たり前、少ない職員数で多くの行政エリアをカバーしているが、住民にも役所内にも不便が生じている有り様だ。

 このようなリアリティと最も遠いところにいるのが主に霞ヶ関を根城にする国家公務員であろう。彼らが行財政改革を全く進めていないというつもりはないが、少なくとも年収が前年比で3割減るなどという事態は起きていない。しかも各省庁の外郭には無数に関連団体や三セク、関連企業が存在し、そこには大量の天下りが行なわれ、相変わらず多くの元官僚たちが禄を食んでいる。ちなみに地方でも類似構造があることは否定できないが、規模や性格といった点で同じようには語れないと私は思っている。

 国と地方の関係に目を凝らせば、小泉政権以降顕著となったのは、要は地方イジメである。端的に言えば、親は腹一杯食べるが、子供は我慢しろという姿勢だ。国は国で800兆円を超える借金を抱えるという大変な財政難にある。「財政健全化法」を喫緊に必要としているのはむしろ国の方であろう。

 地方へのマネー移動を抑制する前に(せめて同時に)、国はなぜ自ら襟を正そうとしないのかというシンプルな疑問。近年の地方政策に対する私の違和感はまずそこにある。上から下を見る姿勢、そしてあくまで保身と利権確保にこだわる傲慢さを、それらに感じるのは私だけではないだろう。


「亡国か再生か」──分水嶺に立つ日本(その2) ──次回は国民福祉について見ていく。ちなみに「自民党をぶっ壊す」と息巻いていた小泉は次男に選挙区を譲って世襲引退。これほど人を馬鹿にした話もあるまい。彼を持ち上げた面食いでスター好きなマスコミにも相当な責任がある。  (続く)




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