2008年09月16日
札幌市が「子どもの権利フォーラム」を開催
札幌市は16日、今年5月召集の第2回定例市議会(2会)で継続審議の扱いとなった「子どもの権利条例」について議論を深めようと、札幌エルプラザ内にある札幌市男女共同参画センター3階ホールを会場に「札幌市子どもの権利フォーラム」を開催した。
このフォーラムが開催に至るまでのドタバタ劇については、15日発売の本誌10月号で一部触れたところだが、パネルディスカッション形式で「(条例案に)懸念をお持ちの方々を中心に真摯に議論しようという趣旨」(市子ども育成部長・高屋敷智彦氏)とあって、会場には学校関係者などを中心に定員に近い300人ほどが足を運んだ。
熱気に満ちた会場には札幌市議の姿も多数見受けられたが、そうしたなかで壇上に座ったのは以下の方々。
【出演】
吉田恒雄(駿河台大学法学部教授)
三谷純子(元ユニセフ広報官)
植村敏視(札幌市立中央中学校長)
上田文雄(札幌市長)
北原敬文(札幌市教育委員会教育次長)
【進行】
市川啓子(札幌学院大学人文学部教授)
フォーラムは、2会で提出された条例案に対して寄せられた陳情(賛成295人、反対424人、条文の一部削除を要求1人)のうち、反対及び条文の一部削除を求めた陳情意見を大まかに分類して、そこにある疑問点や反対理由などにパネリストたちが答えていくという体裁で行なわれた。
筆者の印象としては、進行の市川氏が代表的な反対意見などを挙げ、回答者を指定して発言を求める流れになったために、パネルディスカッションとは言いながら談論風発とならなかった点が残念だった。条例案に反対の立場をとるパネリストを呼ばなかったことも、一問一答に終始してしまった一因ではなかったか。
例えば、救済機関の設置を懸念する意見に対しては、イジメなどで悩む小中学生が悩みを打ち明ける相手は親や教師、友人が大半であり、現在ある市の相談機関は子どもの「悩みの受け皿」になっていないとの指摘が植村氏からあった。しかし、そこで現行の相談機関が抱える課題が討議されなかったために、調整機能を持つ「救済機関」を相談機関の上部に設けると何故に「教育現場~相談機関」の連携が深まり、子どもの「意見表明」が活発化するのか、参加者の多くは理解し難かったのではないだろうか。
冒頭で吉田氏は、「宣言ではお題目で終わってしまう。実効性を伴うためには法的な根拠を持つ条例であるべき」との旨を述べたが、今回は全体として「崇高な理念」の説明に終わった感が拭えない。条例案への市民理解は一定程度進んでいると市が考えるならば、より現実的な「実施」のモデルケースを市民に提示するべきだろう。次なるフォーラムの開催に期待したい。(ひ)
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Posted by 北方ジャーナル at 20:51│Comments(0)
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