2008年08月13日
紋別 ピンホール写真フェスティバル2008
先週の8月8日、9日の両日、紋別市で「ピンホール写真フェスティバル2008」のメインイベントが開催された。シンポジウムやワークショップなどのイベントはすでに終了となったが、同市のまちなか芸術館多目的ホールでは15日(金)まで、紋別市立博物館では17日(日)まで写真展が開催されている。
エリック・レナー&ナンシー・スペンサー展
紋別市立博物館で開催されているのは「エリック・レナー&ナンシー・スペンサー展」と「エドワード・レビンソン展」。スペンサー、レナー両氏の作品は、まるで皮肉やニューモアを含めた宗教画のようで、一目見て写真だとは感じないかもしれない。もともとは作品として制作した立体模型をピンホールカメラで撮影することで平面化。ピンホール写真独特の色合いと遠近感が、もともとの立体作品に不思議な味付けを施している。写真家がピンホールカメラで作品を作ったのではなく、芸術家がひとつの表現手法としてピンホール写真を採用している。ピンホール写真というものの奥深さを感じ取れる作品群だ。ニューヨーク近代美術館やパリ国立博物館など、世界の著名美術・博物館にも収蔵されている両氏の作品が国内で見られる機会はそうそうない。アート・写真に興味をお持ちの方は、ぜひこのお盆休みを利用してチェックしてほしい、そんな写真展だ。
同じく博物館で出展しているレビンソン氏(アメリカ)は日本に在住しながら、フォトエッセイの執筆や各地でワークショップを開催し、ピンホール写真の魅力を多くの人々に伝えてきた写真家だ。長時間露光を利用し、ピンホール写真の魅力がつまった作品が並ぶ。展示会場には、蟹の甲羅を使用して作ったピンホールカメラ「カニラ」やユニークなピンホールカメラも多数展示されている。
博物館のすぐ近くにあるまちなか芸術館では、フェスティバルの主管団体であるピンホール写真芸術学会(PPAS)の会員作品展、実行委員会が募集していた「ピンホールフォトコンテスト」の応募作品、京都工芸繊維大学の学生による写真も展示されている。プロ・アマを問わず102人、162作品が集められ、国内でもこれまでにない大規模な展示となった。撮る対象も違えば、ピンホール写真の特性の活かし方もまるで違っていて飽きない。長時間露光を活かして、流れゆく水を鏡面のように捉える者もいれば、ラブホテルでの「行為」の一部始終を一枚の写真に納める者もいる。ピンホール写真の多様さ、奥深さがそのままこの会場に投影されているようだ。ピンホール写真という技術で何を表現できるのか、そのことを考える際に参考になる展示ともいえる。
両写真展の開催時間などは実行委員会事務局(電話0158・23・4236)まで。
(は)
Posted by 北方ジャーナル at 18:52│Comments(0)
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