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2007年12月13日

鉛色の冬に漂う日鋼記念病院


大揺れの日鋼記念病院は何処へ?
※11月下旬の室蘭で。


 日鋼記念病院がらみの記事を1月号に書いた。「9・11クーデター」によって西村昭男氏が医療法人カレスアライアンス理事長の座を追われて以後、これまで約3カ月の間、どれだけ同病院からドクターが流出したか、そしてその影響などを取材した。

 詳細はともかく、結論から言うとなんとも悲惨な状況だ。経営トップ(西村理事長)と現場トップ(勝賀瀬貴院長)が姿を消し、主要診療科の幹部医師10人もさまざまな理由を口にしながら病院を後にした。多くの科で診療休止の事態となり、胆振管内唯一の「救命救急センター」は機能不全で指定を返上。患者は外にあふれ返っている──。現地、室蘭に入った11月下旬は曇天の底冷えのする日だったが、まさに病院の現状を暗示するような重苦しい天気だった。

 病院回りをしていると、最近は関係者とよくカレスがらみの話になる。日鋼記念の現状を尋ねられ、知ってる範囲のことを伝えると、こんな冷めた反応があった。

「もうさ、いっそ日鋼(日本製鋼所)の世話になってしまえばいいんじゃない。鉄の需要もいいし。西村先生も頑張って宣伝していたのは分かるけど、皆がいうほどボクは大した病院じゃないと思う。室蘭は新日鐵病院や市立病院もあるし、そんなに大きな病院ばかりあってもね」

 一方で、こんな声も多い。

「救命救急部門も含め、なくてはならない存在でしょう。誰が仕掛けたかはともかく、いわば、あの病院の育ての親である西村さんを、ああいう形で追い出すことの院内と地域への影響を、過小評価しすぎてます。辞めていったドクターたちはむしろ幸せかもしれません。ガタガタになった職場で、複雑な思いを抱き、なお頑張っているスタッフたちの心中も穏やかではないでしょう」

 お家騒動や権力争いは当事者の勝手であろう。だが、それによって、患者や地域に迷惑をかけてもいいというなら、いったいそれはどんな医療なのか。患者の命や体を預かっているという医療人としての自覚を疑わざるを得ない。セーフティネットが全く施されていなかったことも含め、色々な意味で今回の解任プロセスが乱暴なものだったことは確かだ。

 この状況下、「クーデター」を仕掛けた側の言い分と現状認識はどうか、誰もが知りたいところ。西村解任に向けて動いた“ユダ”は、本当は誰だったのか?

 ──今回の取材で、かつての西村側近で、現在医療法人毋恋(旧カレスアライアンス)の常務理事・林茂氏から話を聞く機会を得た(※内容の一部は1月号に掲載)。

 いずれにせよ西村氏がポリシーに掲げていた「愛と信頼の輪」が少なくとも肝心の内部組織に根付いていなかったと感じるのは私だけではあるまい。

 ちなみにこの西村氏は11月に日鋼記念病院をあそこまで大きく育てた功績を国に認められて秋の叙勲(瑞宝中綬章)を受けている。

 なんとも皮肉なエピソードというほかない──。

 ところで西村氏の最近の消息をカレス統括本部に聞いたところ、12月9日にホノルルマラソンに参加し、御年77歳にして完走を果たしたそうだ。

 思わず「マジで?」と聞き返してしまった。色々あっても、いやはや、お元気である。


取材に答えた医療法人母恋の林茂常務理事


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「北方ジャーナル」2008年1月号
http://hoppojournal.sapolog.com/e451338.html



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