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2011年10月23日

クラーク会館で「流通業を科学する」特別セミナーを開催

クラーク会館で「流通業を科学する」特別セミナーを開催
講演したジャーマン名誉教授(左)とドレイク教授(右)。10月22日、北大構内クラーク会館で


 アークスの横山清社長が会長を務める社団法人新日本スーパーマーケット協会が22日、北海道大学クラーク会館で米コーネル大学の食品産業マネジメントを専門とするジーン・A・ジャーマン名誉教授とウィリアム・E・ドレイク教授の特別セミナーを開催した。協会に加盟している食品スーパー関係者のほか、道内外のメーカーや卸、北大生など約250人が参加、米国食品小売業の最新事情やカトリーナなど大規模な自然災害でライフラインを担う食品小売業の役割などについて同時通訳の講演を熱心に聞き入った。

 ジャーマン名誉教授は、食品小売業の学問的アプローチで世界的権威。米国の食品スーパーのトレンドについて講演し、業界が直面する6つの課題を掲げた。その6つは、①景気後退 ②消費者の変化 ③新しいテクノロジー ④消費者が求める利便性 ⑤業界の競争 ⑥新たな位置づけ──で、景気後退を受け消費者は高級店からバリュー店へ、有名ブランドから自社ブランドへ、珍しいものからベーシックなものへと指向が変化しており、「米国では自社ブランド品が08年の19%から13年には22%になる。欧州でも自社ブランド品は30~40%以上を占める。日本の6%という比率はまだまだ拡大するのではないか」と食品スーパーのPB(プライベートブランド)は世界的に拡大傾向にあると指摘した。

クラーク会館で「流通業を科学する」特別セミナーを開催
講演するジャーマン名誉教授


 また、スマホなどソーシャルメディアによって情報や決済が行なわれ、小売業は立地が全てではなくなり、スマホのアプリを利用したデリバリーサービス(宅配)が再び台頭、英テスコは90分でオンライン予約の商品を揃え、利用者が店舗に行くだけで販売員が注文した商品をトランクに詰めてくれるドライブスルーも始めていると報告した。

 さらに消費者が地産地消に関心を高め、地元で獲れる野菜や青果の専門コーナーを設ける例が増えており、ウェブマンズでは70店舗に1200戸の農家が生鮮野菜などを供給してうまくいっていることを紹介。

 米国の食品スーパーは他業態から様々な競争に晒されており、アマゾンも新鮮野菜を扱うほど。「食品スーパーは自社の正しい位置づけを見出すことが最大の課題。質なのか、バリューなのか、その2つの組み合わせなのか──貴社にとって何が最も効果的かをきちんと把握することが大切」と述べた。

 続いて講演したドレイク教授は、05年8月にメキシコ湾岸に上陸したハリケーン・カトリーナによる大規模被害によって、災害対応の考え方が転換したことを指摘し、「食料、薬、水など政府が持っていないサプライチェーンの基盤を持つ食品小売業が災害時にはリーダーシップを発揮する。ウォルマートが効果的に対応できたのは、①広範囲にわたる店舗と流通センター網 ②現地の知識 ③サプライチェーンの専門知識 ④組織的文化と価値観 ⑤断固たるリーダーシップ」と分析。最も信頼できる産業として10年の調査でスーパーマーケットと病院が29%で首位、銀行(20%)、電力・ガス会社(19%)を上回っていることも紹介した。

 ドレイク教授は、「組織的文化と価値観は時間をかけて創られていくもの。報われるのはこうした災害時だが、日々の業務が重要だ」と参加者たちに訴えた。

 特別セミナーを主催した新日本スーパーマーケット協会の横山会長は、「流通産業は高度なレベルの経営が必要とされている。流通業を科学するということは突き詰めた合理的な戦略を持ち、それをどう消費者の日常生活と関連付けるかということ。コーネル大2教授のセミナーが、北海道の流通小売業の新しいスタートになるものと確信している」と挨拶した。

 新日本スーパーマーケット協会が主催したコーネル大2教授のセミナーは、前日も東京で行なわれた。横山氏は、自身が社長を務めるアークスのユニバース子会社化に伴い、ユニバース本社がある青森県八戸市で一連の記念行事を終えた後に東京でのセミナーに出席。その後2教授とともに帰札して北大の特別セミナーに臨んだ。

「北大は私の母校だが、北大には食品小売業を学ぶ場がない。初めて米国の専門家を招いて講義と質問が出来るのは大変嬉しい。クラーク会館は学外の行事には使えないが、北大とコーネル大は提携関係にあるので使うことができた。私の学生時代にクラーク会館は丁度建設中で、私も1日500円のアルバイトで工事に加わった思い出がある」とユーモアを交えながら横山節を披露していた。 (さ)



Posted by 北方ジャーナル at 13:08│Comments(0)
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