
2010年10月26日
「メディアの萎縮、食い止めたい」―道新記者ら上告へ

判決後、記者会見を開く道新・佐藤一記者(左端)、高田昌幸記者(中央)ら
(26日午後3時33分、札幌市中央区の札幌弁護士会館)
26日午後、元道警総務部長・佐々木友善氏が北海道新聞記者らを名誉毀損で訴えた裁判の控訴審判決が札幌高等裁判所であり、井上哲男裁判長が原告・被告双方の控訴を棄却、道新側が事実上敗訴した形の1審判決(札幌地裁)を支持した。同判決後、道警裏金問題報道時のデスクだった高田昌幸記者らが市内で会見を開き、上告の意志を表明、「この判決がきっかけでメディアの萎縮が加速し、調査報道ができなくなる社会にしてはならない」と訴えた。
高裁が支持した1審判決は、高田記者らが執筆した単行本2冊(講談社『追及・北海道警「裏金」疑惑』、旬報社『警察幹部を逮捕せよ!』)の記述中、計3カ所について「真実と信じる相当の理由がない」などと指摘し、同記者などに計72万円の支払いを命じたもの。
取材で得た“事実”が法廷で認められず、名誉毀損とみなされたことに対し、被告側の代理人を務めた清水勉弁護士は「報道・出版の世界にとっては厳しい結果となった。言論の自由を守るためにも上告せざるを得ない」と話す。また当時の道警キャップだった佐藤一(はしめ)記者は「現場が調査報道に取り組もうとしても、メディア幹部がこの判決を引き合いに出し、組織的な萎縮を招くおそれがある」と危惧する。大手メディアの“発表報道”体質に「個人的な感覚だが、ここ10年ぐらいの間に権力側に寄り添った報道がかなり増えた」と苦言を呈した高田記者は、「そうした傾向に拍車をかけてはならない」と上告の意義を強調した。

判決を受け、佐々木友善氏も会見を開いた(26日午後3時14分、北海道司法記者クラブ)
一方、原告の佐々木友善氏は同日午後の時点で上告の意志を表明していない。市内で会見を開いた佐々木氏は、「この判決によってメディアが萎縮する必要はない」と語りつつ、「取材は自由。しかし、捏造記事はいかなる事情によっても書いてはならない」と、かねてからの主張を改めて強調、「メディアに抗議しにくい弱い立場の人間を苦しめる報道に歯止めをかける意味で、社会貢献的な意義のある訴訟だった」と、提訴の真意を語った。道新の報道がきっかけで全国各地の警察裏金問題が発覚した動きについては、「退職した立場でその問題に言及することは避けたい」としている。
奇しくも、原告・被告ともに「メディアが萎縮してはならない」と呼び掛けた2つの会見。いずれにも大手新聞・通信・放送を含む多くのメディアが参加していたが、各社がこの問題をどう受け止めたのかはあきらかになっていない。 (ん)
取材で得た“事実”が法廷で認められず、名誉毀損とみなされたことに対し、被告側の代理人を務めた清水勉弁護士は「報道・出版の世界にとっては厳しい結果となった。言論の自由を守るためにも上告せざるを得ない」と話す。また当時の道警キャップだった佐藤一(はしめ)記者は「現場が調査報道に取り組もうとしても、メディア幹部がこの判決を引き合いに出し、組織的な萎縮を招くおそれがある」と危惧する。大手メディアの“発表報道”体質に「個人的な感覚だが、ここ10年ぐらいの間に権力側に寄り添った報道がかなり増えた」と苦言を呈した高田記者は、「そうした傾向に拍車をかけてはならない」と上告の意義を強調した。

判決を受け、佐々木友善氏も会見を開いた(26日午後3時14分、北海道司法記者クラブ)
一方、原告の佐々木友善氏は同日午後の時点で上告の意志を表明していない。市内で会見を開いた佐々木氏は、「この判決によってメディアが萎縮する必要はない」と語りつつ、「取材は自由。しかし、捏造記事はいかなる事情によっても書いてはならない」と、かねてからの主張を改めて強調、「メディアに抗議しにくい弱い立場の人間を苦しめる報道に歯止めをかける意味で、社会貢献的な意義のある訴訟だった」と、提訴の真意を語った。道新の報道がきっかけで全国各地の警察裏金問題が発覚した動きについては、「退職した立場でその問題に言及することは避けたい」としている。
奇しくも、原告・被告ともに「メディアが萎縮してはならない」と呼び掛けた2つの会見。いずれにも大手新聞・通信・放送を含む多くのメディアが参加していたが、各社がこの問題をどう受け止めたのかはあきらかになっていない。 (ん)
Posted by 北方ジャーナル at 19:16│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。