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2009年06月24日
#.5 ジャニス・ジョプリン「フェアウェル・ソング」
いま蘇る、あのミュージシャン!
懐かしのRock
(フリーライター 七闇夢妖)第5回 Janis Joplin『Farewell Song』
(※ 北方ジャーナル2004年9月号掲載記事)
神に「歌心」を授けられた天才シンガー
カラオケが普及したせいか、最近はなかなか歌の上手なアイドル歌手が増えた。歌番組を見ていると、思わず「オッ」と感心するほど上手い歌手もいるのだが、いわゆる“上手さ”と聞き手の感動は必ずしも一致しないようだ。
アメリカ西海岸を拠点とするヘルス・エンジェルス系のバンド「ビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニー」のヴォーカリストとして、68年に「チープ・スリル」でデビューしたジャニス・ジョプリンは、死後30年以上が過ぎた今も「不世出の天才シンガー」と賞賛を浴びている。
彼女は決して「きれいな声」を持って生まれてきた訳ではない。歌はもちろん上手いが、彼女が「不世出」なのはその「存在感」と「説得力」に負うところが大きい。ハードな曲からバラードまで、彼女の歌声には自らの命を削るような切迫感がある。歌と、歌うという行為に込められた“魂”が聞き手の心を打つのだ。
モンタレー・ポップ・フェスティバル(67年)で世界中から注目を集めたのはジミ・ヘンドリクスと同様だが、ヴォーカリスト1人に集まった名声は、ジャニスとバンドの間に亀裂を生む。「チープ・スリル」に「ピース・オブ・マイ・ハート」やライヴに欠かせないナンバーの「ボール・アンド・チェイン」を残した彼女は、バンドの演奏力に不満を持っていたこともあって、ソロシンガーとして再出発する。
スタジオ・ミュージシャンを集めたバンド「コズミック・ブルース・バンド」を率いて録音された「コズミック・ブルースを歌う」(69年)も名盤の誉れ高いが、最高傑作と言われるのは70年10月に死亡した後、約半年経って発売された「パール」(71年)だ。
ジャニスの死によってインストのみ収録された「生きながらブルースに葬られ」なる不気味なタイトルのナンバーもあるが、「ジャニスの祈り」や「ミー・アンド・マイ・ボギー」など名曲揃いの超傑作。新バンド「フル・ティルト・ブギー・バンド」のタイトな演奏も聴き所たっぷりだ。
同年に没したジミヘンと同様、ジャニスの死も麻薬の過剰摂取が原因と言われる。自らを死地に追い込むような生き様が名作を生ませたのかも知れないが、両人の死は筆者にとっては残念この上ない。
オススメする「フェアウェル・ソング」は、67年から70年までの彼女の足跡を追ったライヴ盤で、バックには3バンドがフィーチャーされている。バックの演奏力には差があるものの、彼女の伸びやかな歌声は聞き手を感動させずにおかない。
ライヴ盤では「イン・コンサート」(72年)も有名だが、彼女の場合は怪しげな海賊版も多数存在する。音質は期待するだけヤボだが、ファンなら少しでも彼女の歌声に触れたいと願うはず。丹念に輸入盤店を探してみよう。
※ この記事は、北方ジャーナル2004年9月号に掲載されたものです
モンタレー・ポップ・フェスティバル(67年)で世界中から注目を集めたのはジミ・ヘンドリクスと同様だが、ヴォーカリスト1人に集まった名声は、ジャニスとバンドの間に亀裂を生む。「チープ・スリル」に「ピース・オブ・マイ・ハート」やライヴに欠かせないナンバーの「ボール・アンド・チェイン」を残した彼女は、バンドの演奏力に不満を持っていたこともあって、ソロシンガーとして再出発する。
スタジオ・ミュージシャンを集めたバンド「コズミック・ブルース・バンド」を率いて録音された「コズミック・ブルースを歌う」(69年)も名盤の誉れ高いが、最高傑作と言われるのは70年10月に死亡した後、約半年経って発売された「パール」(71年)だ。
ジャニスの死によってインストのみ収録された「生きながらブルースに葬られ」なる不気味なタイトルのナンバーもあるが、「ジャニスの祈り」や「ミー・アンド・マイ・ボギー」など名曲揃いの超傑作。新バンド「フル・ティルト・ブギー・バンド」のタイトな演奏も聴き所たっぷりだ。
同年に没したジミヘンと同様、ジャニスの死も麻薬の過剰摂取が原因と言われる。自らを死地に追い込むような生き様が名作を生ませたのかも知れないが、両人の死は筆者にとっては残念この上ない。
オススメする「フェアウェル・ソング」は、67年から70年までの彼女の足跡を追ったライヴ盤で、バックには3バンドがフィーチャーされている。バックの演奏力には差があるものの、彼女の伸びやかな歌声は聞き手を感動させずにおかない。
ライヴ盤では「イン・コンサート」(72年)も有名だが、彼女の場合は怪しげな海賊版も多数存在する。音質は期待するだけヤボだが、ファンなら少しでも彼女の歌声に触れたいと願うはず。丹念に輸入盤店を探してみよう。
※ この記事は、北方ジャーナル2004年9月号に掲載されたものです
Posted by 北方ジャーナル at 10:48│Comments(0)
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