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2009年05月21日

「マイペース酪農」の実践で従来型の北海道酪農から脱却を

「マイペース酪農」の実践で従来型の北海道酪農から脱却を

本誌の看板長期連載のひとつである『“農と食”北の大地から』。今月号は対談篇の第3弾を掲載している。連載執筆者のルポライター滝川康治氏と今回語り合ったのは中標津町の酪農家・三友盛行さん。テーマは、「マイペース酪農の実践を振り返り『農業と食のあり方』を考える」。チーズ工房も併設している三友牧場で、三友さんのこれまでの取り組みや牛への穀物多給の問題点、酪農と食文化のあり方などが語り合われた。

マイペース酪農とは、「草・牛・人間の循環」を重視した酪農のあり方。草地面積に応じた適正規模の経営を基本に、牛に無理をかけないために配合飼料の多給による高泌乳を避け、放牧を採用し、糞尿は完熟堆肥などにして草地に還元することで、環境や牛、人間に負荷の少ない酪農を追求するものだ。

三友さんは、40年ほど前に根室管内中標津町俵橋へ開拓入植して以来、「1ヘクタールに親牛1頭」を基本に一貫して循環型酪農を営んできた。10年ほど前には『マイペース酪農』(農文協)を著している。ルポライターの滝川氏が初めて「マイペース酪農」を取材したのは93年のこと(本誌1994年2月号・3月号に掲載)。およそ15年ぶりとなる対談が実現した。

「マイペース酪農」の実践で従来型の北海道酪農から脱却を北海道には全国の乳牛の半数、肉用牛の15%ほどが飼育され、「酪農・畜産王国」と呼ばれている。そのコピーからは、緑豊かで広大な大地、といった牧歌的なイメージを受けるが、その実態は多くが輸入穀物をたくさん食べさせる“工業型畜産”によって成り立っている。年間に乳牛1頭あたり3トンもの配合飼料を食べさせ、年間乳量は約8000キロと1970年代の2倍。結果、牛は短命化し、さまざまな生産病が発生している。近年は牛を放牧する牧場も増えてはいるが、全体の2割にも満たないようだ。そうした北海道の酪農の実態に、「マイペース酪農」は一筋の光を与えるものではないか。三友さんと滝川氏との語りはそのように思わせてくれる。

穀物に頼って作られた牛乳を原料にしたチーズと、そうではないもので作られたチーズでは、その味にも歴然とした違いが出てくる。記者も三友牧場のチーズを今回初めて口にしたが、そのうま味や風味はこれまで味わったことのない感覚だった。一人の消費者としても三友さんのお話には勉強させられるものがあった。
(は)



Posted by 北方ジャーナル at 16:46│Comments(0)
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