さぽろぐ

新聞・ニュース  |札幌市東区

ログインヘルプ


 › 月刊誌「北方ジャーナル」公式ブログ › 道内救急医療の現状と未来

2008年10月13日

道内救急医療の現状と未来

道内救急医療の現状と未来 明日発売される本誌11月号で掲載の「シリーズ こわれゆく日本の医療」では、道内の救急医療の現状と課題をテーマに行政サイドから発言してもらおうと道庁医療政策課救急グループの江口修司氏に話を聞いた。

 函館市内9病院で急患の受け入れを制限、救命救急センターである北見赤十字病院で全内科医が退職、札幌市産婦人科医会が9月末限りで二次救急体制から撤退──。救急医療の崩壊は以前から危惧されてきたことだが、今年に入ってその勢いは加速の度合いを強めている。

 その原因は多岐にわたるが、道として救急医療の課題をどう捉え、どんな手法で克服を試みているのか。国が敷いたレールの上を医療は進むなかで、道としてもやれることは限られている。直接医療を提供する立場にない以上、医師や看護師などが救急医療を担いやすいよう障害をいかに取り除いていくか。限られた権限のなかでコーディネーター役を務めるのが道としての仕事ともいえる。

 道内には重症・重篤救急患者の搬送で1時間以上もかかったケースが昨年1年間で100件を超えるような圏域(全21圏域のうち6圏域)がある。命は平等と言いながら現実には地域によって助かる命とそうではない命がある。

 そんなことが許されるのか。全体を見渡す道がもっとイニシアティブをとって各地に医師を配置すべきではないのか。そんなふうに憤ってみたり、行政を批判することは簡単なことだ。実際、インタビューの場で記者も行政批判を含めた質問をいくつか投げかけた。しかし、問題の解決はそう簡単なものでもない。記者の質問に江口氏は行政マンらしくもなく(失礼)率直に、自分の言葉で応えてくれた。

「北海道の救急医療を維持するために医師を強制的に各地に配置すれば済むことかもしれませんが、医者には居住地選択の自由もないのかということにもなるのでは」

 そんなジレンマのなかで、道はどう知恵を絞り、手段を講じていくのか。今回で6回目を迎えた「こわれゆく日本の医療」は、医療の専門家が読んでも納得し、なおかつ一般の読者が読んでも分かりやすい内容にしようといつも心掛けて編んでいる。だが、今回は一般読者、つまり患者側の人々にぜひ読んでもらいたい内容だと筆者は思っている。道内の救急医療がどんな状況にあり、我々はどう関わっていけばよいのかを少しでも思ってもらえる時間ができれば幸いだ。

道内救急医療の現状と未来 今回の取材で「小児救急電話相談」というものが存在することを記者は恥ずかしくも初めて知ったのだが、道民の皆さんはご存知だったでしょうか?? 子供を育てていると急に発熱してしまったり、転んで身体のどこかが腫れてしまったり、さまざまなアクシデントがあるもの。大人と違って子供は自分の症状をうまく言葉にできないことも多く、すぐに病院に連れて行くべきか、朝まで待っても大丈夫なのか親は悩んでしまうものです。そんなときに便利なのがこの「小児救急電話相談」で、受話器を手にとって『#8000』を押せば看護師につながって相談することができます。看護師で判断がつかない場合は小児科医に電話がつながるシステムで、相談受付時間は平日と土曜日の19時~23時。病院に駆け込む前に電話をかける余裕がある場合にはぜひ利用してみてはいかがでしょう。

 ところで、今回の取材を通じてふと思ったのが、「いっそ、医師も看護師も、医療スタッフはすべて公務員にしてみてはどうか」ということ。これには賛否両論どころか否定する意見のほうが多いと思う。実際、そんなことを記者の女房(元看護助手)に話してみたら「いや~、それはどうかな~。医療の進歩が止まるんじゃない?」と言っていて、医療の進歩に公務員化はそれほど影響しないだろうと説き伏せて、いろいろと話してみても結局は「公務員にはすべきじゃないよ」という持論を動かさないのである。

 医療も教育と同じようなスタイルにすればいいんじゃないかと思うのである。学校教育以上のものを求めるならお金をかけて塾や予備校に行けばいい。医療もベーシックな分野(線引きが難しいだろうが)は公的機関が主に担い、未承認薬治療や美容形成などは今の自由診療に当たる分野を民間に任せてはどうか。混合診療も認めてしまったうえで。公務員には居住地選択の自由を制限でき、医療資源の偏在を防ぐこともできる。「大きな政府」への逆戻りとの見方もできるだろうが、医療スタッフの公務員化は日本医療の現状を見渡すと与える恩恵のほうが大きいように思うが、いかに。
(は)



Posted by 北方ジャーナル at 16:52│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

QRコード
QRCODE
削除
道内救急医療の現状と未来
    コメント(0)