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2008年08月18日

「道新vs道警」裁判をまた傍聴してみた

「道新vs道警」裁判をまた傍聴してみた
傍聴席は前回よりも2枠増えたが“行列”は43人減、大半の傍聴希望者が“チケット”を手にした

 18日午後、またしても「道新vs道警」訴訟を傍聴してみた。昨月に続き札幌地裁で開かれた第11回公判(竹田光広裁判長)では、被告側(道新ほか)の道警裏金問題取材班キャップ(当時)と、原告の佐々木友善氏が証言台に立ち、まあいろいろ話したり話さなかったりした、約3時間半にわたって。

 前回(7月14日)の公判時にアップロードしたブログの一部をコピー&ペーストして裁判の概要を記しておくと、『裁判は、佐々木友善・元道警総務部長が道新と同社記者、及び裏金問題をまとめた2冊の単行本の版元(講談社・旬報社)を相手取り、両書籍中に事実無根の記述があるとして名誉毀損で訴えたもの。2006年5月の提訴以来、これまで計9回の口頭弁論が開かれている』。おっと失礼、「計9回」という部分は「計10回」と打鍵し直さなくてはならない。と“お詫び・訂正”を添えたのち、再び便利なコピペに。『この間に単行本の共著者である作家の宮崎“キツネ目”学氏とジャーナリストの大谷“黒田軍団”昭宏氏が被告側に補助参加し、この日も法廷に姿を見せていた』。はい、今回も姿を見せていました。

 このたび開放された傍聴席は、計60枠。編集部はまたしても複数のスタッフを地裁に派遣したが、整理券配布の列に並んだ傍聴希望者はわずか73人。競争率は前回の2.0倍から1.2倍に急落し、ハズレの憂き目に遭ったのはたったの13人と、なんだかんだ言って社会的にさほど関心を集めていないのか、あるいは大手メディアが道新に遠慮してまったく動員をかけていないのか、なんかほかに大事件でもあったのか、前回にも増して拍子抜けなありさまなのだった。

 さもあらばあれ、今回の公判では原告の佐々木氏本人が証言台に立つとて、被告側からいったいどんな尋問がなされるのかと思いきや、結果から言ってしまえばそれは次回に持ち越しとなったのだった。なんでかというと、道新元キャップの尋問が長過ぎて時間が足りなくなっちゃったからである。で、ここで突然私的な感想を述べると、被告側の代理人軍団、喋りがへたくそ過ぎ。雁首揃えて、終始何が言いたいのかよくわからん。“観客”のひとりとして「おいおい大丈夫か」という思いが頂点に達したのは、開幕1時間ほどを経た午後2時38分ごろ。被告側がいきなり「休憩しませんか」と言い出した場面だ。

 被告側代理人「補助参加人(宮崎・大谷両氏)との確認ができてないので、よろしければ早めに休憩を」
 原告側代理人「意義あり!」
 裁判長「確認って何ですか」
 被告側代理人「ええと打ち合わせ…」
 裁判長「打ち合わせも何も、なんか訊きたいことあるんだったら簡潔に訊いてくださいよ」

 原告側は原告側で、代理人のハイテンションは前回に続いて健在、何度か傍聴席の失笑を買った空回りトークが、ショーの前半であくびを招いた法廷に活気を取り戻し、取り戻し過ぎて時に爆笑を呼ぶこともあった。

 原告側代理人「(道警本部の)1階から2階に繋がる階段上で話を聴いたんですよね」
 元キャップ「はい」
 原告側代理人「その階段を昇ることは道警に許されてるんですか」
 元キャップ「止められたことはありません」
 原告側代理人「正式に道警から許可は得てるんですか」
 元キャップ「言っている意味がわかりません」(廷内笑)
 原告側代理人「『関係者以外立ち入り禁止』というの、乗り越えて行ったんですか」
 元キャップ「乗り越えてません。隙間から」(廷内爆笑)

 というようなやり取りを再現していってもきりがないので、このへんで。編集部が注目したのは、今回もやはり記者クラブに関する話題であった(またかよ)。開幕直後、被告側代理人と元キャップとのやり取りの中で浮かび上がったのは、「クラブ記者はつらいよ」という現場の声。それを聴いたクラブ未加盟「北方ジャーナル」記者は、どう思ったか。「つらかったらやめりゃいいじゃん」と思ったのであった。「そんなもん、君たちだけで独占してないで、開放すりゃいいじゃん」と思ったのであった。

 元キャップは、概略こう言っていたのだ。クラブ記者は優先的に警察情報を貰える身分である。警察情報が発信されないと、日々の報道がうまいこと回ってゆかない。クラブ記者が警察に都合の悪い話題を取材すると、くだんの警察情報を貰いにくくなるおそれがある。そうなるとふだんの紙面がつくれない。いったいどうしたもんか。困った困った悩ましい――。

 元キャップの発した言葉に、次のような科白がある。疑惑をすっぱ抜かれた警察関係者が「飼い犬に手を噛まれた」旨の発言をした際、どう思ったかと訊かれて、

「(警察とメディアとは)表面的には対等であっても、心理的にはわれわれは(警察から)下に見られているな、と思いました」

 対等? なるほど、国民には「知る権利」というものがあるそうだから、建て前上はまさしくお上と民草とは対等なのでありましょう。無論われわれもそういう関係を望むものであります。では、大手メディア記者と一般市民とは、とりわけクラブ未加盟社の記者とは、あるいはフリーランスの記者とは、さて対等なのでありましょうか。

 クラブが開放されれば、所期の問題はいっぺんに解決する。警察もその他の行政機関も、司法機関も立法機関も、記者クラブ加盟社なぞというめんどくさい集団とのみ「対等」関係をつくるのをやめて、すべての情報を等しく誰にでも公開すればよろしい。警察が発信した一次情報を誰でも受け取ることができるようになれば、もとより「貰いにくくなる」ことなぞありえないではないか。「キャップ懇」とか「25日会」とか「忘年会」とかの飲み会だって、もっと盛り上がるじゃないか。盛り上げるから呼んでくれ。ゼーキンで飲ませてくれ。

 編集部のルサンチマン、否、法界悋気、否否、単なる妬みとは無関係に、裁判はまだまだ続く。次回は9月29日午後1時半に開幕だ。今回の尋問がほんの入り口で終わってしまった佐々木氏と、被告側の元デスクとが、札幌地裁の証言台に立つことになる(予定通り進めばね)。 (ん)



Posted by 北方ジャーナル at 22:46│Comments(0)
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