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2008年03月16日

些事、万事書き留めるべし

些事、万事書き留めるべし

 ここ1週間は、ちくま文庫の『完訳 グリム童話集』(野村ひろし訳・全7巻)を毎晩1冊ずつ、岩波版と読み比べて楽しんでいたが、これは文字量が少ないのが欠点。眠気が差す前に読了してしまった時に重宝したのが、秋山叢書の『柳田國男随行記』(今野圓助著)だ。初版発行は昭和58年で、現在は古書でしか入手できないようである。

 ごく簡単に内容を言ってしまうと、当時20代半ばの慶大生であった著者が、御歳67歳の日本民俗学の祖・柳田國男の講演旅行に密着した旅日記ということになる。
時期は昭和16年11月13日からの17日間。新宿から九州までの行程が仔細に、柳翁との些末な会話までがみっちりと書き込まれている。

 民俗学に興味がある人にしか価値がないと考えるかもしれないが、さにあらず。携行荷物や食事、旅館の設備などの描写、何より著者と柳翁との他愛もない会話から、当時の旅景が豊かに香ってくる。

 この旅行から帰着した9日後、日本は太平洋戦争に突入した。時代の空気を封じ込めた記録としての価値も大きいだろう。

 昨今は日記ブログなども盛んだが、どうせ書くなら詳しく日常を書き付けた方が良さそうだ。将来、重要な資料として熱心に読まれる可能性が、ないわけではないからである。
(ひ)


Posted by 北方ジャーナル at 13:00│Comments(0)
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