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2007年11月16日

武井正直講演録 「求心力なき時代に」から

武井正直講演録 「求心力なき時代に」から  北洋銀行を育てあげ、今年の六月に相談役を退いた、武井正直氏の講演録が出版された。経営者のみならず、道民に広く読んでほしい本だが、非売品で入手が難しいことを鑑みて、心に残った言葉をいくつか引用させていただきたい。

「日本では、成功話が横行しています。それに反して、失敗が話題にのぼらないのは非常に不思議です。本当に学ぶべきは、失敗に学ぶべきと思います。(中略)一人前の人間になるにはどうしたらいいかと、これは電力の鬼といわれている松永安左エ門さんが、『失業したことがある、死にそこなったことがある、刑務所に入ったことがある』との三つのことを経験することだといっています。挫折を経験することで、人は精神的にも強くなりますし、自己をむなしゅうしてものが聞けるようにもなります。こうした態度でなければ、情報を正確にキャッチできませんし、失敗の本質をつかまえることもできません」(86年)

「企業経営にしても、また人間の生き方にしてもやはり『守』があり、それを『破』り、『離』れて生きていくというところに基本原則があるのだと思います」(87年)

「事業をやっていくには、自分は運がいいと思うことと、辛抱することが二大原則です。いろいろな企業の興亡をみていると、運がいいと思い、辛抱することが、経営者の必要条件ではないかと思います」(90年)

「乱世の時代には、原点に立って、原則に従った行動をすることが重要になります。当行でも、バブルの間じゅう、私は部下に金融の原点に立とう、原則に従った行動をとろう、といい続けてきました」(92年)

「五千円札の肖像にもなっている新渡戸稲造先生の『武士道』が今見直されているのも、日本人の『生きる美学』が問われているからです」(93年)

「北海道は、食糧問題にもっと真剣に取り組み、農業の再構築をやらなければいけないと思います。また、エネルギーを、中東に七割も依存していることを考えなければなりません。原子力エネルギーをどのように活用するか、どう子孫に引き継いでいくかを真剣に考えなければなりません」(96年)

 武井氏は1925年(大正15年)、山梨県生まれ。43年陸軍予科士官学校入学。45年終戦後に満州より帰還。鳥取県にて、農業、製材業に従事。48年慶応義塾大学法学部に編入学。50年同大卒業。日本銀行入行、証券局に配属。63年ロンドン駐在。70年日本銀行外国局業務課長。78年株式会社北洋相互銀行専務。80年同行副社長。82年同行社長。89年商号変更に伴い北洋銀行頭取。90年北海道骨髄バンク推進協会理事長。00年同行会長。05年同行相談役。07年退任。


Posted by 北方ジャーナル at 22:08│Comments(0)
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